1. イタリア旅行サッカー観戦記 | 天空のミラノ
    異国の地でのサッカー観戦を通じて、サポーターの絆は強くなっていく。それはいつまでもいつまでも続くと思っている。





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    Author:けーのすけ
    横浜Fマリノスのサポーター。色々な友達と話したり付き合ったりする事を大事にしている。



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    第2話 旅行の東雲-2 
     イタリアへサッカー観戦に行く事を決めてから、雑誌、インターネットを探した。しかしわかった事と言えば、英語も話せない俺は、割高であるサッカー観戦ツアーに参加しなければ、無理であろうという事だ。
     やはり安く行きたいという事。
     友達は英語も話せずにスコットランドを旅したという話。
     しかし、ある旅行会社の人と話した時に、観光であるならば可能かもしれないが、サッカー観戦は到底無理で、経験者でも何度かは経験が必要とアドバイスされた。
     俺の夢である、サッカー観戦を安く行く事が尽きかけた時、思い直した。どうせ割高であるなら、自由の身を生かして現地人でも見ることが難しい、ミラノダービーを見てやろうと思いついた。
     ミラノダービーとは、ミラノに所属する2つのチームが試合をする事であり、その日は街中がお祭りと戦争を合わせた様な日であり、お店もダービーマッチを理由に堂々と休む事があるという程、凄まじいものである。
     丁度一方のチーム、ACミランには好きな選手、トマソンが所属していると思い、心は決まる。しかし、なかなか簡単には見つからない。
     そんなおり、週刊サッカーという雑誌を見ていると、あるではないか。ミラノダービーが。なんと毎週読んでいる雑誌に掲載されている。そしておまけに、イタリアで活躍中のボローニャの中田英寿と名門ユベントスの対戦も観戦できる。
     嬉しさの余り、飛び上がりそうになり、すぐに予約をした。
     そして、面倒な書類手続き等の予約が終わり、25万円を振り込み、パスポートを更新している間、毎日が興奮で寝付けなかった。しかし、全ての手続きが終わり、あとは旅行の準備をするだけとなると、途端にトーンダウンした。
     荷造りは大の苦手なのである。

     隣を歩く稲葉にはイタリアへ行く事を以前話していた。そこで、まだ準備をしていない事を話すと、代わりに行こうか?と冗談が飛び出す。とんでもない、と切り返し、帰ったら準備をしなくてはいけないと、観念する。
     「しかし、よく一人で行くよな。」
     突然の稲葉の言葉だった。俺は彼の人の良さそうな顔つきが、驚いている様を怪訝に見つめる。
    「だってさ、友達とか誰もいないんでしょう?不安じゃないの?」
    「うん。」
     生返事をする。考えないでもなかったが、何とかなると根拠のない無謀な自信を持っている。
    「何とかなるよ。」
     試合のない時間はガイドブックを手に、町中を散策できれば良いと思っているし、試合はチケットもあるのだし、試合会場まで遅れずに行けば良いだけである。
     特に名所を回りたいという希望はないし、本場のイタリア料理にありつければいい。
     サッカー観戦と、料理を食べるだけが重要なのだから、そんな返事にもなる。
    「ふーん、そうなんだ。」
     と、彼は小さく頷き、まだ半分も来ていない駅までの道のりを、牛歩で歩き続ける。

     家へ帰り着くと、既に眠気が襲っており、それに荷造りの面倒臭さが拍車をかける。
     「それでいいのか?大丈夫なのか?」と言う真面目なもう一人の自分などお構いなしである。性分というものはそうそう変わらない。「明日一日でやればいいんだろ。」と、悪態をついて、眠りに落ちる。

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    第3話 旅行の東雲-3
     翌日の目覚めはよくない。昨日準備をせずに寝てしまった事の引け目と、相変わらず面倒くさいと思うだけで、イタリア旅行へ行くスイッチが入らない。何れ準備をするだろうと高をくくっている。何故こんなに怠いのだろうか、自分でもよくわからない。
     明日は、朝早くから出かけなければならず、今日中に準備を終えなくてはならない。「普通なら旅行が楽しみで、準備も早々に終えて、興奮が冷めないという状況じゃないのか?」と、自問してみても「だって、なんだか面倒。」という言葉しか返ってこない。
     溜息を一つ付く。
     すると、携帯のメール着信メロディーが流れ、内容を確認する。俺の彼女である堤理恵からである。
     (明日はついにイタリアだね!私を一緒に連れて行かない分、ちゃんとお土産買ってくるんだぞ!)
     理恵のちょっと悪戯っぽい笑顔が浮かぶ。俺のサッカー観戦好きには理解を示していたし、その分彼女もデザインの仕事の為には、デートを当日になってキャンセルする事もある。つまり、お互いの好きな事にお互いに理解を示し、許容しあっている。それでも、愛し合っているし、いつでも存在を忘れる事はない。
     (ワイン、チーズでいいかな?)
     俺はメールを返す。
     (うん、いいよ。楽しみにしてる~。ちゃんと準備してる?)
     (いや、まだやってない・・・。)
     (もう、やっぱり・・・(笑))
     (わかってるよ、もう今からやるよ。)
     (頑張れ~。じゃじゃ、またねw)
     こんなやりとりから、俺は身体を少しずつ準備へと進める。まずはパスポートと、旅行会社からの書類一式、お金。そして着替えやタオルなどのバス用品から小物などを揃えて、一気呵成に小さめで紺色のスーツケースへと押し込む。三泊五日という事もあり、それほど荷物は多くない。そしてまた理恵へメールをする。
     (荷造り終わった。)
     (お疲れ様!気を付けて行ってきてね。ってか、一人で大丈夫なの?それが前から心配。) (大丈夫、なんとかなるよ。現地にガイドもいるし。)
     (そうだよね。まっ、とにかく楽しんでおいで~!)
     (了解です。お土産楽しみにしててね!)
     (はいはーい。)
     こうして、夜になる頃には準備はほぼ終えていた。あとは明日朝しっかり起きられる様に携帯電話のアラームをセットする。朝七時。


    第4話 旅行の東雲-4
     目覚めはよく、起きた。十一時までに成田空港へ集合しなくてはならない。一時間前に着くように早めの七時半には家を出る。
     家を出て少し行き、角を曲がるとるとすぐに商店街に出る。最寄り駅である西武池袋線の石神井公園駅まで、スーツケースをガラゴロと転がしながら進む。店はまだどこも開いておらず、スーツに身を固めたサラリーマンやブレザーを着た女子高生達が、駅へと向かっている。そんな日常の雰囲気を、俺のスーツケースは音を立てて壊して進んでいく。ガラゴロという派手な音に、周囲から視線を受ける。胸の内に、自分だけに許された非日常を堪能できる優越感と気恥ずかしさが混じる。
     駅に着いて電車に乗り込む時も、小さめのスーツケースとはいえ邪魔な存在である。下など見えない通勤電車でぽっかりと開いた空間の下には、スーツケースがでんと構えているわけで、それに俺はすいませんと頷いてみせるしかできない。「まったく出来の悪い家の子がすいません。」とでも言っている様に。
     しかしそれも池袋駅に着いて、山手線へ乗り換えるまでである。上野駅に着くまでは意外と乗客も多くなく、しばしの休息といった感じである。
     そして上野駅から京成上野駅まで数百メートル歩いていくと、ついにスカイライナーという特急に乗る。これで成田空港まで約一時間の旅となり、落ち着いて行く事ができる。
     車両は多少古いが、特急と名の付くだけあってそれなりに快適なシートである。ゆっくりと身体を預けると、鼓動が少し早い事に気付く。しかし相も変わらず期待感はない。どちらかと言うと不安感。何故だろうか。サッカーが好きで、文化として確実に根付いている国、イタリア。そこのサッカーを見に行き、本場ものを体感しにいく。そんな夢の様なシチュエーションであるのに、まさか未知のものに触れることが怖いわけがない。駅も終点まで行けばいいだけだし、成田空港も全くの初めてではないし、判断力もそれなりに持ち合わせた二十六歳だ。
     気を紛らわそうと、月刊海外サッカーを手に取る。いつも読んでいる週刊サッカーと同じ出版社のもので、今日の為に買ってきたものである。暫く写真を眺め、記事を読んでいると、純粋な期待感に胸が膨らんでくる。久しぶりの海外。初めてのヨーロッパ、初めての長時間飛行。自分もあと少しで、雑誌やテレビの中でしか見ることの出来なかった場面に立ち会うことができる。
     大丈夫、俺は今度の旅行を楽しめる筈。
     そう信じている。


    第5話 出会いと出発-1
     列車を降り、スーツケースを引きずり、改札を出て空港へのエスカレーターを上がっていくと、広い空間に出る。天井は手が届かないほど高く、コンサートができそうなぐらい広い。
     これが、成田空港。
     集合場所である三番窓口までとりあえず行ってみる。しかし、それらしい人は見あたらず、どこかで時間を潰すしかないと、併設されている店舗へと足を向ける。
     珈琲を飲もうと、エスカレーターを上がると左右に二店舗あるが、珈琲は作り置きされた酸味を帯びた香りがし、そのくせ780円もするものを口に入れる気がせず、エスカレーターを下りる。本屋、レストランなどをブラブラと眺めながらまた待ち合わせ場所へと戻ってしまう。
     電光掲示板に、出発が遅れる旨が目に入る。それも二時間。俺は眉をひそめ、溜息をつく。今でさえ時間を潰す事に困っているのに、更に二時間追加されるとは全くなんて事だ。これだからイタリアは駄目だ。日本ならきっとこんな事はないだろうに。まだ、かの地に降りたっていないのだが、早くもラテンの杜撰さの洗礼を浴びた気がする。
     これからの行動に迷い辺りを見回し、何もないと思い下を向いたときである。カルチョツアーという荷札が目に入る。見上げると、前に若い男の背中が見える。どうやら同じツアーの人の様である。
    「すいません、カルチョツアーの方ですか?」
     男は向き直り
    「あ、はい。」
     短髪で、身長もそれほど高くなく、眼鏡をかけていて、少し神経質そうではあるが目は優しげである。年齢も俺と同じ20代半ばに見える。
     しかし、俺は同じツアーというだけの男に話しかけてしまった事に、少し後悔する。なんと話を続けていいのか。しかし、これがサッカー観戦ツアーである事を思い出す。
    「二時間遅れるらしいですよ。」
    「らしいですね。」
    「どうしますか?」
    「そうですね、どうしますか。」
     と、彼は携帯電話を開き、画面を確認している。俺も何気なくそこに目をやり、ストラップにJEFの旗である緑と黄色が付いてるのを確認する。
    「JEFサポなんですか?」
    「え、ええ。」
     彼は少し照れながら、笑う。
    「実は俺、マリサポなんですよ。」
     と、同じく携帯電話についているストラップを見せる。俺のはユニフォーム型をしたものだ。お互いがJリーグのサポーターである事がわかり、親近感が出てくる。
    「そりゃ、おめでとうございます。」
    「あ、どうもありがとうございます。」
    「あんな事があるんだって思いましたよ。」
    「あの時は、本当に、呼吸困難になるぐらい叫びました。」
    「あはは、そうですか。ウチは最後の最後、チャンスは殆ど無かったですしね。」
    「でも、あの監督はいい監督みたいですね。あのピクシーが尊敬するぐらいですから。」
    「いやいや、まぁ、それは。」
     お互いに、笑顔で会話が交わされる。共通の話題があると、楽しい。
     ちなみに、マリサポとは横浜Fマリノスのサポーターという意味であり、JEFサポとはJEF市原のサポーターという意味である。また、マリノスは昨年、劇的な優勝を飾っている。それから、このときのJEFの監督が、後に日本代表監督となるオシム氏である。当時からサポーターの間では注目の的となっている。
    「ところで、どこに住んでるんですか?やっぱり千葉?」
    「いや、実は川崎に住んでるんですよ。」
    「俺は、都内なんですけど、マリノスなんですよね。お互い地元チームを応援しているんじゃないんですね。」
    「そうみたいですね。マリノスは開幕から?」
    「木村和司さんが好きで。」
    「僕はリティですね。」
    「へぇ、そうですか。」
     そこへ俺よりは少し年上、30歳半ばぐらいの女性が話しかけてくる。
    「すいません、手続きは済まされました?」


    第6話 出会いと出発-2
    「いえ、まだですけど。」
    俺は答える。
    「そうですか。」
    「2時間ほど遅れるそうなんで、どうしようかと思っていた所です。」
    「ちょっと失礼。」
     女性は俺達を避けて、カウンターまで歩いていき何やら話し始める。そして暫くすると戻ってくる。
    「何か担当の人がいないみたいだから、少し待って欲しいって。」
    「あ、そうなんですか。」
    「お二人は、サッカーツアーは初めて?」
     この女性は随分と馴れ馴れしい話し方だと思いながらも、笑顔で話しかけてきているので、俺も笑顔で応える。
    「ええ、彼がJEFサポで、俺がマリサポなんですよ。」
    「へえ、そうなんだ。私もたまにだけど、Jリーグの試合、見に行くよ。そう言えば、マリノスは凄かったね。」
    「ええ、そうなんですよ。興奮しました。」
    「いつもどの辺で応援してるの?」
    「俺は、ゴール裏です。」
    「僕は、バクスタです。」
    「私もバクスタでゆっくり見るんだけど、ゴール裏ってもしかして凄い歌ったりしてるの?」
    「ええ、そうです。」
    「へぇ、凄い。」
     改めてゴール裏で熱く応援している事に驚かれると、妙に恥ずかしい。
    「サッカーツアーは何度目かなんですか?」
    「そうね、3回目かしら。」
    「こんな風に飛行機遅れる事って珍しくないんでしょうか?」
    「どうかしら。」
    「やっぱりラテン気質なんですかね?」
    「どうかな。でも、初めての時、荷物を違う所へ送られた事があったから、そうかもしれないね。」
    「そうですか、大変でしたね。」
    「そうなのよ。日本に帰ってくる時だったからまだ良かったけどねぇ。」
     この女性は本当に笑顔でよく喋る人だと、彼は呆気に取られてる。俺もよく喋る方ではあるから、彼一人が置いてけぼりを喰ってる。
    「あら、そろそろかしらね。席、どうせだから一緒にしない?」
    「ああ、そうですね、いいですよ。どうですか?」
    と、彼に聞くと彼も微笑みを浮かべて頷く。
    「そうですね。」
     彼女は彼の返事を確認すると足早に俺達から離れ、カウンターへと行き、航空機のチケットの手配を済ませる。そして、身振り手振りで俺達を呼び、スーツケースを預ける。



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