1. イタリア旅行サッカー観戦記 | 天空のミラノ
    異国の地でのサッカー観戦を通じて、サポーターの絆は強くなっていく。それはいつまでもいつまでも続くと思っている。





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    第10話 ミラノ-2
     バスに乗り込み、俺は山本さんの隣りに座る。
     そして先ほどのお騒がせ案内人の女性が、バスガイドの様に立って、話しを始める。
    「これから案内させて頂きます、小林と言います。さて、ミラノは30cmの雪が積もり、これは大変珍しい事で、飛行機や交通に影響が出ていました。その為、飛行機も遅れてしまったようです。」
     住んでいる東京でも、雪が30cmも積もれば、大雪の部類であり、電車が止まったりするのは、過去に経験がある。
    「それから、ホテルへはここから約1時間程です。それまで、今回のツアーを楽しんで頂く為の注意事項をお話しします。まず、お水ですが、殺菌剤が入っているので、美味しい事はないですが、お腹を壊す様な事はなく、安全です。しかし、パスポートや貴重品などはなるべくホテルのセイフティーボックスへ預ける事をお勧めします。イタリア国内はスリが日本人を狙う事も多いので、お財布などは十分注意してください。以上です。何か質問があれば、どうぞ。」
     こうして一通り終わると、俺はどうにもお腹が空いている事に気付く。機内では予定通りの2食。そしてミラノには夜7時から、8時頃にはホテルに到着する筈だったので、きっと皆もそれからご飯を食べると考えていた。しかし、既に9時を回っている。
     俺は早速、質問をする。
    「すいません、何か食べる所はありますか?」
    「ええ、ホテルから歩いて10分程の中央駅構内にスーパーがあります。ただし、夜に出歩くのはあまりお薦めしません。」
     何か食べたいが、不案内な場所を夜歩くのは、男の一人歩きだとしても、安全とは言い難いのだろう。
    「わかりました、ありがとうございます。」
     空腹に弱い俺は、苛立ちを感じ、山本さんに話しかけてみる。
    「山本さんはお腹は空いてませんか?」
    「あ、私は、それほどでは。」
    「そうですか。」
    「ホテルの場所もわかりにく感じなので、今日は止めた方がいいかな。」
    「そうですね。」
     俺は、それでもスーパーへ行く事が諦めきれない。とりあえず、ホテルへ着いてから考える事にしようと、密かに思う。

     そうこうしている内に、ホテルへ到着。チェックインする事になる。意外と綺麗な淡いサーモンピンクの壁面をしているのが、特徴的である。一行はバスを降りた後、ヨーロッパ風の装飾がふんだんに使われているロビーへと集められる。そして一人一人、チェックインをするのであるが。名前を言い、かたことの英語、覚えたてのイタリア語の単語で、何とかチェックインをする。そして、フロントの人からカードとそれを入れる紙を渡されるのだが、その表に書いてある数字が読めない。
     これは、1なのか、4なのか、7なのか。3桁の数字と睨めっこである。
     それを見ていた山本さんが、
    「これは127号室ね。」
    と、説明してくれる。そして同様に分からないと悩んでいた高橋さんにも、
    「135よ。」
    と、教えてあげている。すると、次々とツアーの人が山本さんに聞きに来る。愛想良くコレに応える、彼女。その度に、
    「これが、4?」
    「これが、7?」
    と、驚きの声が上がる。
     こうして、何とかそれぞれの部屋番号もわかり、3人組みは目の前にあるエレベーターに乗り込む。私と高橋さんは1階、山本さんは4階である。イタリアではこれがスタンダードなのかは知らないが、エレベーターの表記からフロントは0階という事らしい事は、目視で確認している。
     エレベーターの中で、俺が提案する。
    「明日は0階のレストランで朝食を7時半頃にしませんか?」
    「そうですね、それぐらいがいいですね。」
     2人はそう答え、高橋さんと俺は、1階で降りる。そしてそれぞれ、部屋を探し始めるが、どこをどう行っても、123号室までしか部屋はない。頼みの綱であった山本さんはいない。
    「どうしましょう?」
     高橋さんの困惑顔が、俺をも不安にさせる。
    「とりあえず、フロントへ戻りましょう。」
    「そうですね。」
     こうして、2人はフロントへ戻る事になる。 

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    第11話 ミラノ-3
     ロビーへ着くと、スーツケースを置き、困った顔をした日本人の男女2人がいる。男性に声を掛けてみる。
    「もしかして、部屋が・・・」
    と、俺が言いかけると
    「そうなんですよ、部屋が見つからなくて。」
    と、返答がある。
     高橋さんと俺は少し安堵したが、どうすればいいのか、よくわからない。しかし、その男性がこう言う。
    「今、友人に聞いて貰っているので、わかると思います。」
    「あ、そうですか、ありがとうございます。」
     フロントで何か聞いている日本人女性に目がいく。助かったと思った。そして、戻ってきたので説明を聞く。
    「エレベーターがもう一つあり、そちらが別館の様なもので、そこから上がればいいらしいです。」
     俺は周囲を見渡すが、どうみても建物は一つの様で、不安は拭えない。
    「あそこを右に曲がると、もう一つのエレベーターがあるそうです。」
     5人でそこへ一緒に行ってみると、確かにエレベーターがある。全くなんと言う事かと思った。説明してくれよ!と心の中で叫ぶ。そして高橋さんに、こう漏らす。
    「あの、最初にフロントで教えてくれても良かったですよね。」
    「そうですね。」
     高橋さんは苦笑いで答える。そしてやっと、休息の場所へと辿り着く。しかし気を抜くのは早い。水やお湯が出ないなどの事をすぐに確認に走る。しかし、水は勿論、お湯も問題なく、タオルまで備えてある。日本の普通のビジネスホテルと変わらない。
     やっとホッとできると思い、ベッドへと倒れ込む。身体全体を襲う疲労が、重くのしかかる。
     とりあえず、リモコンでテレビを付ける。一通りチャンネルを変えてみる。ニュース、アニメ、ドラマらしきものが映るが、何が何だかよくわからない。勿論、全てイタリア語だからである。しかし、雪の空港が映って、天気予報が映る。推測するに、今日の大雪と、明日の天気の下り坂を伝えているのであろう。
     気を取り直して、熱めのシャワーを浴びてみる。緊張が解れ、安らかな気分になり、ベッドに倒れ込む。時計を見ると既に11時過ぎである。
     それが最後の記憶であり、深い深い眠りに落ちていく。
     そしてどれだけ長く寝たか全くわからなかった。いや、わかっていればこんな事にはならなかっただろう。そう、ふと目を覚ました時、どれくらいの時間が過ぎたか全く検討がつかず、ふと時計を見る。
    「1時。」
    「1時?」
     約束の7時半などとっくに過ぎてしまっている。 
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