1. イタリア旅行サッカー観戦記 | 天空のミラノ
    異国の地でのサッカー観戦を通じて、サポーターの絆は強くなっていく。それはいつまでもいつまでも続くと思っている。





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    第19話 ミラノダービー-2
    サンシーロ外観

     トラムの出発が遅れたとはいえ、キックオフの2時間前にスタジアムであるサンシーロに到着する。まずはその大きさに圧倒される。
     東京にある霞ヶ丘国立競技場の外側に1.3倍ぐらい大きく上には3倍ぐらい大きい。巨大要塞といってもこの大きさを表し切れていない様に思う。
     昼間に見た大聖堂の中の柱の大きさ、天井も天空を感じさせるほど高かったがそれとはまた違う近代的な大きさである。
     そう考えると大聖堂は、日本の寺院に似た奥深さを感じる。そして神の降臨さえ予感させる。こんな事を漫然と思っていると、それを遮る様に鬨の声が空から聞こえてくる。
     一体どこから響いてくるのかわからない程大きく、その声に包まれる。勿論、スタジアムの中からである事は容易に推測できるのではあるが。
     まずはスタジアムの観客席を目指す。これも山本さんの先導である。チケットを見ながら入り口を目指す。すると、五階建てか七階建てほどの階段を上らされる。そして指定席のゾーンに辿り着き中に入ってみると、あれだけ階段を上ったのに本当にピッチが近い。選手の細かい足さばきも見えそうである。
     ワクワクしながら自分の席を探す。ここで少し異様であるがイタリアらしい光景を目にする。時間も時間なので指定席を埋める観客は3分の1程度である。しかし観客席に座る為の上り階段には、整然と一列で座っている人達がいるのである。
     つまり上る階段を座っている事で、その階段を使う事ができないのである。
     仕方なく、背もたれのない座席を階段代わりに上がっていくしかない。
     小さな山登りとでも言う様に息を切らして数十段を上っていく。山本さんに手を貸しながら。
     そしてその階段の列をまじまじと見てしまう。女の子が脚を開いてその前に隙間無く男の子が座る。高校生ぐらいの親しげなカップルである。その前も、その前もおじさんやら男の子が座っている。隣りに座る山本さんに聞いてみる。
    「あの人達は何なんでしょうね?」
    「きっと正規のチケットを持ってないんでしょう。どうやって入るのかはわからないけれど。」
    「ええ、チケットのチェックとかしないんですかね?」
     その瞬間に地下鉄での切符のチェックの事を思い出す。仕方ないなぁと思う。しかし、時間ギリギリに来る人はどうするのだろう?人垣をかき分けて席へ来るしかない。
     そんな不安を余所に、応援歌が聞こえてくる。
      左手にあるミランサポーターから、大きな声で腕をかざして手を叩いて。8万5千人収容するというスタジアムがこの声というか、大音響で包まれる。スタジアムで流している音楽など熱狂的なサポーターから少し離れている俺にさえ殆ど聞こえない。古代の戦争など私は知らないが、きっとこれほど大きな鬨の声をあげる事もあったのだろうかと思ってしまう。
     逆にインテル側の応援が始まると、ミラン側は数万という数の指笛でブーイングをする。中指を何度も立てている者もいる。イタリア語の罵声はわからなくても、痛烈に相手を否定しているのは肌で感じるし、また恐ろしくなる。それほど感情が渦巻いている。
     まだ試合の一時間半も前だというのに。

    テーマ:ヨーロッパ旅行記 - ジャンル:旅行

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