1. イタリア旅行サッカー観戦記 | 天空のミラノ
    異国の地でのサッカー観戦を通じて、サポーターの絆は強くなっていく。それはいつまでもいつまでも続くと思っている。





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    第22話 ミラノダービー-5
     「大変でした。あの階段を上るのも大変でしたけれど。」
    「確かに、階段にああ座られてはね。」
    「イタリア語どころか、英語もあんまりなんで、苦労しました。」
    「服を見て着いていくって感じだった?」
     サポーターは、赤と黒か、青と黒のチームカラーの服を着ている事が多いからだ。
    「本当にそうです。でも、まあ間に合ったんで、良かったです。」
    「そうだね、それは確かにそうだ。」
    「それよりも、同乗者の殆どがミランサポーターで。」
    「肩身の狭い思いをした?」
    「いや、それよりも、早く着けと車体を縦横に身体を使って揺らすんですよ。そしたらこれも揺れる揺れる。横転するんじゃないかと、怖かったです。」
    「そんなの、日本じゃありえないね。」
     俺は目を丸くしながら答える。
    「そう言えば、山本さんとは?」
    「あ、行きに迷った事を話したら、一緒に帰ろうって誘ってくれたんです。」
    「あ、そうなんだ。」
     こうして、新たに仲間が増えたわけである。
     トラムが所々で止まる。そしてお客が降りる。
     俺は山本さんの顔を見る。
    「山本さん、どこで降りるかわかりますか?」
    「多分わかると思う。」
     多分という言葉に不安を覚える。
     行きはいい。サンシーロへ行く人達の群れに着いていけばいいのだから。しかし帰り道はそれぞれである。
    「でもドォーモ駅は大きいから、みんな降りるんじゃないんですか?」
    「いや、そうでもないのよ、これが。」
     ますます不安になり、井関さんと顔を見合わせる。  
     曇るガラス越しに外の様子を見る。しかしどこも同じ様な街並みに見え、わからない。特にアナウンスもあるわけでもない。
     すると、山本さんが高橋さんと俺に言う。
    「そろそろの筈。」
     ドキドキする。降りるのを間違ったら最後だという意識である。こんな夜遅くに降り間違えたら、どうすればよいのか皆目見当がつかない。
     そしてさっきまでの興奮は冷め、緊張の一瞬は訪れ、無事に4人で降車する事ができた。
     トラムの停留所から少し歩くとドォーモ広場で、そこからまた地下鉄でホテルへと帰る。 ホテルのロビーに辿り着くと、井関さんと山本さん、高橋さんと俺とで別れ、そして各々の部屋へと帰る。
     骨は疲れた肉体を支えきれずに、身体をベッドへ投げ出す。テレビを付けてみる。
     何を言っているかわからない。いくつかチャンネルを変えてみると、今日のミラノダービーについてを放送している。選手名やチーム名が所々出てくるので、それで何とかわかる。ぼーっとそれを眺めながら、シャワーを浴びなくてはと身体をなんとか起こす。
     疲れを熱めのシャワーで洗い流し、再びベッドへと潜り込む。
     記憶の薄れるのは早く、深い眠りで、気付いたら翌朝であった。

    テーマ:ヨーロッパ旅行記 - ジャンル:旅行

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